WEB版 歌集『銀河最終便』 &メモ /風間祥
Finality mail of the Milky Way

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浅利瑞穂さんが選んで下さった50首。                 
「短歌人」「未来」「玲瓏」でご一緒した浅利瑞穂さんが、
50首を選んで下さいました。

望月祥世歌集『銀河最終便』より五十首選 / 浅利瑞穂

・風でした海を渡って行ったのは 主従八十余騎の武者絵の
・誰一人訪ねる人のない家に似ている 風が過ぎた青空
・もう飛べない飛びたい夢ももう持たない東京湾に夕日が落ちる 
・ゆっくりと記憶の野火は放たれて手負いの獣追いつめてゆく
・土蜘蛛は長病みにけり病み臥して心弱りて糸吐きにけり
・吊り革がゆっくり揺れて吊り革の先に透明傘が一本
・てのひらに残るぬくもり月光の生み落したるひかりの卵
・苦蓬・チェルノブイリの4号炉覆う石棺 雨のロシアの
・人が死ぬ その時何が起こるのか 花束を乗せた始発電車よ
・廃線のレールがのびてゆく村にひらく月夜の無数の茸 

・宙をゆく風の帆舟や月の馬 虚空の底に湧く星の砂
・もの憂くて倦んで疲れて死にたくて心の奥のガラス砕けて
・この空の見えない玻璃を突き抜けてあなたの鳥が飛んでゆく秋
・何事もないかのように朝は来る消えた楽譜の淋しい音符
・遠からず死は現実のものとなる 雨に打たれている曼珠沙華
・あの貨車は今どのあたり過ぎている 遠い銀河をゆく夏燕
・夏の庭 古い庭には古井戸と思い出だけが住んでいました
・鳥籠に鳥を飼ったら青空の果てを見せてはいけないという
・「死に至る病」ではない憂鬱というのでもない 雨の気配か
・眠くなる 最後は眠くなって死ぬのだろうか 鳥たちも

・火祭りの写真をどうもありがとう篝火はまだ燃えていますか
・失って滅びていつか消えてゆくそれでも人は夢見るさくら
・「一期は夢よただ狂え」狂いて死せる宅間守か
・日本ではまず同胞に殺される 愚か者よと切り捨てられる
・恐ろしい時代が来るという気がする 罅割れている時代の背中
・逃げるしかない人生があることを酸漿色の冬の夕暮れ
・とある日の風であったか春の日の夢であったかすれ違う影
・何回も書き直した線が綺麗であるわけがない推敲を認めない
・完璧に停止している何もかも この苛々はそのせいなのだ
・全部嘘、たとえそれでもいいじゃない 舞台には降る太鼓の雪

・いいのかな、言われっ放しでそのままで 理路整然と片づけられて
・私はこの頃空を見ていない 花の向こうに空はあるのに
・この世という遠いところに二人会いやがて離れゆく二つの影か
・氷雨にも耐えた桜が微風にも散ってゆきます春暮れる頃
・究極のシュールは写実であるというダリの直感的なパンの絵
・一切は流れ流れて空の果て 彩雲生れて老残を見ず
・仲間を持ち家族をもって恐竜は群れて集って滅びて行った
・恐竜も鯨も虹を見たかしら 嵐が置いてゆくという虹
・苦しくてならぬと傾いでゆく身体 大王松の一生終わる
・ただ踊る 踊るに任せ褒めもせず叱りもせずに育てるという

・日常はそんなときにも日常であったであろう投下直前
・このままで死んでしまえば虚しいねカランコロンと夏の坂道
・日ごと死は近づいていて一心に後生の大事せよと古典は
・急がなければならない時が来ています既に終りが始まっている
・いつまでの桜吹雪か生きて逢うこれが最後と四月の吹雪
・足跡のほかには何も残さない その足跡も波が消し去る
・福音書の一節に言う忘れがたく《怒りのために罪を犯すな》
・その知らせはいつか来るはず その日を恐れその日を思う
・誰もいない何にもない辿りつくその空間を死と呼んでみる
・社会的適応をして私は大事なものを棄てて来ました

以上、50首。



+2首 

・何事もないかのように朝は来る消えた楽譜の淋しい音符
・もう既に死んでいるものが改めて死んでも何も不思議はない


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